歯に見つけた黒い点の
３つの原因と治療法

鏡で歯を見た時に黒い点があり虫歯かと心配される方も多いはずです。虫歯は痛みが出てからの治療では歯をたくさん削ることになります。しかし、歯の黒い点は虫歯以外の場合も多いです。歯をよく見ると意外に黒くなっている部分が見つかります。削る必要性があるかどうかは歯医者に行かないと分かりません。歯の黒い点の３つの原因と治療法について説明しますので参考にして下さい。

①歯についた着色（ステイン）

歯の表面には凹みや溝などがあり、着色がつきやすい部分があります。自分で鏡を見てみると虫歯のような黒い点に見えることがあります。コーヒー、紅茶、タバコなど着色がつきやすい物を好む方には多く見られます。着色自体は悪いものではないのでそのままでも問題はありませんが、虫歯との鑑別が必要になります。

治療法

溝などの部分の着色は歯科医院で歯のクリーニングを行うことにより、ある程度は除去することが出来ます。着色をもっと除去したい場合は歯のホワイトニングが必要になることもあります。しかし、タバコなどを止めない限りはすぐについてしまいます。

②初期虫歯が硬化したもの

歯の咬む面の溝や歯と歯ぐきの境目にできる黒い点は初期虫歯が慢性化して硬くなっている場合があります。歯は常に歯が溶ける脱灰と溶けた歯を治す再石灰化が繰り返されています。脱灰が進み虫歯が進行してしまったが、再び口の中の環境が改善されて初期の虫歯が硬くなると黒い点に見えます。

治療法

虫歯が自然治癒しているので、虫歯ができない口の中の環境を作りながら経過を観察します。歯を削って人工的なものを詰めれば必ず劣化しますし、再治療を繰り返しているうちに歯の寿命は短くなります。虫歯予防を徹底してなるべく削らないことが重要です。

③歯の中で広がっている虫歯

歯の表面の小さな黒い点にしか見えなくても、歯の中では大きな虫歯になっていることがあります。特に乳歯や生えたての永久歯は大人の方に比べ歯の質が柔らかく、虫歯の進行は早くなります。

治療法

歯を削る治療が必要になります。歯の中で大きく広がっていることもありますが、なるべく歯の神経を残すようにします。歯の神経を失うと歯の寿命は極端に短くなります。

①定期的な歯科医院での経過観察

初期の虫歯が進行しているかどうかは歯医者で確認するしかありません。定期的に歯医者でクリーニングを行い虫歯の進行を防ぎながら、必要であればレントゲンを撮影して虫歯が進行していないか確認します。虫歯が進行していなければ削って治療する必要はありません.

②歯科医院や自宅でのフッ素塗布

初期虫歯を最も硬くできる方法は毎日のフッ素の使用です。フッ素は歯の表面のエナメル質と結びついて硬い層になります。初期虫歯の部分は柔らかくなっているので、毎日低濃度のフッ素を使うことが初期虫歯を改善する最も効果的な方法です。フッ素はジェルや歯磨き粉、洗口剤のタイプがありますので、自分にあった方法を行ってください。また、歯科医院で定期的に高濃度のフッ素を塗布してもらうことも有効です。

③自宅でのきちんとした歯磨き

自宅での歯磨きをきちんと行うことで虫歯の進行を防いでいきます。特に黒い点は歯の溝の部分に生じやすいので歯ブラシの毛先を溝にきちんと当てることが重要です。

④口の中の環境を変える

初期虫歯が生じる原因は口の中が虫歯になりやすい環境だからです。他の歯も虫歯にならないように口の中全体の環境を改善していく必要があります。虫歯が生じた原因を唾液検査によって判断して歯が再石灰化しやすい環境をつくります。環境が整えば初期の虫歯は進行せずに、そのまま硬くなっていきます。 

①歯のレントゲン

歯の黒い点から虫歯が広がっている場合もあり、レントゲンは進行した虫歯の深さを確認するのに有効な検査です。歯医者で撮影するレントゲンには種類があります。大きなレントゲンのパノラマではどこの歯に虫歯があるかを確認し、小さなレントゲンのデンタルでは歯と歯の間の虫歯や虫歯と神経までの距離などを確認します。何枚かのレントゲンで総合的に判断します。

②レーザー光で虫歯の深さを測る

虫歯が浅い場合、レントゲンでは確認できないこともあります。しかし、歯には黒い点があるので削るべきかどうか判断に迷います。こういう時はレーザー光で虫歯の深さを測るダイアグノデントという機械を使います。ダイアグノデントは初期虫歯の程度を数字で表すため歯を削るかどうかの判断になります。しかし、数値が高いから全ての歯を削るわけではなく、レントゲン等の全ての検査結果を総合的に判断して虫歯治療を行うかどうかを判断します。